「辞めたい。でも、辞められない」――そのループ、あなただけじゃないんです
仕事から帰宅して、バタバタと家事、子どものお世話。やっと寝かしつけが終わって、子どもの寝顔を見ていたら——「こんな生活、もうしんどい」。
そう思った経験、ありませんか?
「辞めたいなあ」って気持ちがふくらむのに、朝になるとまた白衣を着てる。この繰り返し、心当たりありませんか?
こんにちは、たくmamaです。看護師歴20年、急性期病棟から管理職、クリニック、訪問看護まで一通り経験してきました。実は「辞めたい人を引き止める側」も長くやっていたので、この気持ち、両側からよーく分かるんです(笑)。
まず、ちょっと安心してほしいデータをひとつ。日本労働調査組合の2021年調査(全国20〜49歳の看護師536名)によると、退職を検討したことがある人は60.6%。一方で、実際に転職活動をしているのは24.3%、だいたい4人に1人でした。
つまり「辞めたいと思う人」はすごく多いのに、「実際に動く人」はぐっと少ない。この差こそが、まさに「辞めたいけど辞められない」の正体なんですよね。
この記事は、あなたに「辞めろ」とも「続けろ」とも言いません。ただ、辞められない理由の正体を一緒にほどいて、あなたが自分で選べるように整理するお手伝いをします。
あなただけじゃない「辞めたい」は、もはや”普通”です

「こんなに辞めたいと思うなんて、私、看護師に向いてないのかな」 そう自分を責めていませんか?
でも、ちょっと待ってください。日本医療労働組合連合会(医労連)の2022年調査(回答約3.6万人)では、「仕事を辞めたい」と考える看護職員は約8割にのぼりました。
8割ですよ、8割(笑)。もはや「辞めたいと思うこと」は、看護師にとって特別なことでもなんでもなくて、ほとんど”あるある”の日常なんです。
だから、まず覚えておいてほしいんです。辞めたいと思う自分は、弱くも、ダメでもありません。むしろその感覚は、あなたが真面目に働いてきた証拠でもあります。
なぜ、辞められないんだろう?正体をほどいてみる
「辞めたい」の気持ちは分かった。じゃあ、なんで「辞められない」んでしょう? ここ、実は人によって理由がぜんぜん違うんです。私自身の経験から、ほどいてみますね。
いちばん重いのは「罪悪感」だった
正直に言うと、私が動けなかった理由の圧倒的1位は、周りのスタッフへの罪悪感でした。
しかも私は管理職。立場上、部下を辞めさせないように努める側だったんです。自分が抱えている課題や役割も多くて、「この引き継ぎ、どこから整理すればいいの…」としり込みしていました。技術やお金の問題より先に、この”人への申し訳なさ”が足を止めるんですよね。
世代で「辞めたい理由」は変わる
管理職としてたくさんの面接をしてきて気づいたのは、辞めたい理由が世代でくっきり分かれること。
- 新人・経験の浅いスタッフ:人間関係、キャリアや勉強、給料、責任の重圧
- 子育て世代:子どもとの時間、子どもが体調を崩しやすい、夜勤が辛い、妊活したい、患者さんともっと個別的に関わりたい
もしあなたが今「辞めたい」なら、その理由が上のどれに当てはまるか、ちょっと思い浮かべてみてください。この”仕分け”が、あとで効いてきます。
辞めたい理由を”仕分け”すると、道が2つ見えてくる
ここが今日いちばん伝えたいところです。 「辞めたい理由」って、実は2種類に仕分けできるんです。
①仕事そのものが嫌(看護の仕事自体がもう無理)
②働き方・条件が嫌(仕事は嫌いじゃないけど、今の勤務がしんどい)
この2つ、対処法がまったく違うんですよ。②の場合は、辞めなくても働く環境や条件を変えるだけで解決することが、けっこうあるんです。
働く条件を変えて、働き続けた人の話

管理職時代の実例をひとつ。(個人が特定されないよう、細部はぼかしますね)
ある子育て世代のスタッフが、前の部署で上司に冷たくされ、話も聞いてもらえず、退職を強く希望していました。私の部署に移って、夜勤なし・日勤のみで働いてもらったのですが、それでも辞意は固いまま。
そこで何度も面談を重ねて、こう提案してみたんです。 「退職じゃなくて、非常勤にして、時間数も減らしてみたら?」
すると、少しずつ気持ちが落ち着いて――結局、働き続けてくれました。本人いわく、「条件さえ整えば、仕事自体は好きだった」と。
つまり彼女が嫌だったのは”看護”じゃなくて”働き方”だったんですね。働く条件を変えたら、辞めなくてもよくなった。こういうケース、本当に多いんです。
でも、私は「辞める」を選びました
一方の私は、最終的に職場を離れる選択をしました。きっかけは、夫の一言です。
毎日お迎えはギリギリ、家に仕事を持ち帰り、休日も職場で作業する日々。それを見かねた夫が、「そんな生活、そんな仕事はおかしいよ」と言ったんです。
その一言で、ようやく「辞める」に気持ちを持っていけました。
正直に言うと、当時の私は仕事を優先しすぎていました。子どもが幼児の頃は何も言わなかったのに、大きくなるにつれて「お母さんのお迎え、遅い」「土日、またいないの」と怒るようになって。周りには子どもを3〜4人育てながら働く看護師さんもいて、それが当たり前だと思い込んでいたけれど、両立を求めるあまり、心の負担はどんどん大きくなっていたんですよね。
最初の一歩は、上司との定期面談で「子どもの小学校進学を機に辞めたい」と伝えたこと。ここから、私の”辞める準備”が始まりました。
ちなみに、そのときの伝え方や準備の話は、こちらの記事にまとめています。

【ここだけの本音】引き止める側は、こう思っている
せっかくなので、引き止める側の本音もぶっちゃけますね(笑)。
管理職の内心は、正直「辞めるなんて言わないで〜」です。しかもね、仕事ができて人間関係もいい子ほど、辞めたがるんですよ(笑)。だから面接では理由を何度も聞いて、続けられる”糸”を一生懸命探しました。
ただ、「辞めたい」と口に出した時点で、気持ちが変わらない子がほとんど。それでも数人は、話すうちに考えを変えて、今も在職しています。意思を変えない子にも冷たくせず、「また戻ってきたい」と思ってもらえる最後の関わりを大切にしていました。だって、働いてくれたことへの感謝しかないですから。
――というわけで。もしあなたが「辞めたら申し訳ない」と感じているなら、その罪悪感、ちゃんと相手に届いています。だからこそ、自分を責めすぎなくて大丈夫ですよ。
カゴの扉は、実はもう開いている
ここで、ひとつ心強いデータを。
厚生労働省の2012年の推計で、資格を持ちながら働いていない「潜在看護師」は約71万人。なんと有資格者の約3人に1人にあたります。
これ、何を意味すると思いますか? 「いったん看護の現場を離れる」という選択をした人が、それだけたくさんいるということ。そして看護師の資格は、離れても消えません。あなたの翼は、辞めても、休んでも、ずっとあなたのものなんです。

あなたは、きれいなカゴの中の小鳥に似ているのかもしれません。 エサもある。屋根もある。だから、扉が開いていることに、案外気づかないんですよね。
でも、思い出してほしいんです。あなたには翼があります。飛べる力は、とっくに持っている。
外の空へ出ていくのも、あなた。 カゴの中を、もっと自分好みに整えて暮らすのも、あなた。
どちらを選んでも、間違いなんてありません。 扉は、もう開いています。 あとは、あなたが決めるだけ。
私がループを抜け出せた「3つのきっかけ」
最後に、タイトルの答え合わせを。私が「辞めたいけど辞められない」を抜け出せたきっかけは、振り返るとこの3つでした。
① 夫の「そんな生活、おかしいよ」の一言
自分では「これが普通」と思い込んでいた生活も、外から見たら全然普通じゃなかった。身近な人の言葉って、自分を映す鏡になるんですよね。
② 子どもの「お迎え、遅い」の本音
がんばってるつもりが、いちばん大事な人を待たせてた。この気づきが、私の優先順位を組み替えてくれました。
③ 面談で「辞めたい」を言葉にしたこと
頭の中でぐるぐるしてるうちは、何も動きません。言葉にした瞬間から、ちゃんと”準備”が始まりました。
あなたのきっかけも、案外すぐ近くにあるかもしれませんよ。
【まとめ】決めるのは、あなた
長々とお話ししてきましたが、要点だけ整理しますね。
| ポイント | 中身 |
|---|---|
| 辞めたい人は多数派 | 辞めたいと考える看護職員は約8割(医労連2022年調査)。あなただけじゃない |
| 辞められない正体 | 罪悪感・引き継ぎ・立場。技術やお金より”人への申し訳なさ”が足を止めがち |
| まずは仕分け | 「①仕事が嫌」か「②働き方が嫌」か。②なら働く条件を変えるだけで解決することも |
| 翼は消えない | 潜在看護師は約71万人(厚労省2012年推計)。資格も経験も、あなたのもの |
| 結論 | 飛ぶのも、カゴを整えるのも自由。決めるのはあなた |
そして、選択肢を少し具体的に。
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焦って動く必要はまったくありません。ただ「世の中にどんな選択肢があるか」を眺めるだけでも、気持ちは軽くなります。カゴの中で暮らすのも、大空へ羽ばたくのも、どっちも正解。 あなたのペースで、あなたが決めてくださいね。今日もおつかれさまでした。
出典・参考データ
- 日本労働調査組合「看護師の退職動機に関するアンケート」(2021年・全国20〜49歳の看護師536名) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000074057.html
- 日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」(回答約3.6万人) https://www.irouren.or.jp/research/kango/kango-2/
- 厚生労働省 広報誌「厚生労働」2017年2月号(潜在看護師 約71万人・2012年推計) https://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/2017/02_01.html
