季節も肌寒くなってきて、体調管理がますます大変な時期に入りました。
ネットニュースでは既に「インフルエンザ流行」の話題も耳に入り、お子さんのいるご家庭では「うちの子は大丈夫かな?」とドキドキしている時期ではないでしょうか?
インフルエンザは感染力も強く、抵抗力の未熟な子どもは重症化するケースもあります。本格的に寒くなると、一気に感染者は増加していくでしょう。
予防としてはワクチン接種も勧められています。子どもの場合、インフルエンザワクチンが「注射」と「点鼻薬(フルミスト)」の2種類があり、どちらが良いのか迷いますよね?
この記事では、現役看護師がインフルエンザワクチンの種類、メリット、デメリットを解説し「注射」「点鼻薬」の違いを知り、お子さんに合ったインフルエンザ対策を考えていきましょう!
1.【まずは確認】子どものインフルエンザワクチン予防接種スケジュール
インフルエンザワクチン予防接種の時期は「注射」「点鼻薬」どちらも共通しております。
1-1.インフルエンザワクチン予防接種の最適時期
インフルエンザは例年流行のシーズンは12月~3月とあり、令和5年以降は例年より早く流行を迎える傾向にあります。インフルエンザワクチンは接種後、約2~3週間後に効果が出てくるため10月~12月の頃には予防接種を受けることをお勧めします。
子ども(6か月~13歳未満)は注射の場合2回接種を推奨しています。ただし、1回目接種から2週間以上間隔を空ける必要があるので注意!他のワクチンも予定している人は一度医療機関に相談して予定を組みましょう。
予防接種の開始は10月から始める医療機関が多いため、「いつから予防接種が開始するか」「予約は必要か」を確認するとGOOD!
1-2.接種回数の違い
💉注射(不活化ワクチン)6か月以上13歳未満:2回接種
13歳未満は1回接種よりも2回接種のほうがより高い抗体価の上昇が得られるといわれています。
👃点鼻薬(弱毒化生ワクチン)2歳以上19歳未満:1回接種
2.インフルエンザワクチン【注射】Or【点鼻薬】徹底比較ガイド
従来の注射とは違って、新たに点鼻薬が日本でも承認され「注射と点鼻薬の違いは?」「どっちが効果的?」と疑問に思いますよね。それぞれの効果について比較していきます!
2-1.【基本情報】注射(不活化ワクチン)と点鼻薬(生ワクチン)の作用の仕組み
ワクチンを接種して体内でどのように作用されるのでしょうか?
注射の「不活化ワクチン」とは、インフルエンザの感染性を失わせ免疫をつくるのに必要な成分を取り出したものです。(引用文献:厚生労働省サイト)
不活化ワクチンは発症そのものを抑えるのではなく、全身にウイルスが拡がるのを抑える作用があります。
点鼻薬(フルミスト)は、生ワクチンです。インフルエンザウイルスを弱毒化させたものを直接鼻粘膜に噴霧し、抗体をつくります。ウイルスの侵入口である鼻粘膜で増殖を抑えることができ、発症の予防に適しているといわれています。
2-2.一目でわかる比較ポイント
| 項目 | 注射(不活化ワクチン) | 点鼻薬(フルミスト) |
| 痛み | あり(注射針の痛み) | ほぼなし |
| 費用 | 目安3000~4000円程度 | 目安8000円程度 |
| 接種回数 | 13歳未満は2回 13歳以上は1回 | 1回(ただし医師の判断による) |
| 作用機序 | 体内で免疫効果が高まり、重症化予防につながる | 鼻粘膜、のど粘膜で増殖を予防し、発症を防ぐ |
| 効果持続期間 | 約5~6か月 | 約1年間 |
| メリット | ・安価 ・安全性と実績が豊富 ・基礎疾患があっても概ね接種可能 | ・1回の接種で免疫効果あり ・痛みがない ・効果持続期間が長い |
| デメリット | ・注射の針を刺す痛みがある ・13歳未満は2回間隔を空けて接種しないといけない ・接種後、注射部位の腫れや赤みが出ることがある | ・高価 ・接種後、数日は風邪症状が出ることがある ・基礎疾患によっては接種制限がある |
2-3.点鼻薬を受けるうえでの重要な注意点
『弱毒化生ワクチン』とは、病気を起こす力をギリギリまで弱くした、生きた病原体(ウイルスなど)を体に入れることで、実際に病気にかかった時と同じ強い免疫を安全につくるワクチンです。
そのため、接種するうえでいくつか注意点はあります。
1.接種後、健康な人への感染(うつす)はほとんどありません。しかし、生後6か月未満の赤ちゃんや妊婦、免疫力が弱っている人(免疫抑制剤内服中、抗がん剤治療中など)との接触は避けましょう。(約1~2週間程度)
2.喘息の既往がある方は接種することで、喘息発作を誘発する可能性があります。喘息の病気がある場合は注射タイプのワクチンにしましょう。
3.点鼻タイプのワクチン接種後1~2週間は、インフルエンザの抗原検査やPCR検査で「陽性」と判定される場合があります。また、抗インフルエンザ治療薬を内服するとワクチンの効果が弱まる可能性もあるので、検査や治療をする時は医師に「インフルエンザワクチンをいつ接種したか」伝えましょう。
3.まとめ
これまでインフルエンザワクチンの種類についてお伝えしました。記事の内容のまとめはこちら👇
1.子どものインフルエンザワクチンには「不活化ワクチン:注射タイプ」と「弱毒化生ワクチン:点鼻タイプ」がある。
2.不活化ワクチンは発症そのものを抑えるのではなく、全身にウイルスが拡がるのを抑える作用がある。
3.点鼻薬(フルミスト)は、インフルエンザウイルスを弱毒化させたものを直接鼻粘膜に噴霧し、抗体をつくる。ウイルスの侵入口である鼻粘膜で増殖を抑えることができ、発症の予防に適している。
4.持病が無く、注射が苦手な子には点鼻タイプがおすすめ。持病があり、インフルエンザワクチンの副作用が強く出やすい子には注射タイプがおすすめ。
5.点鼻タイプのワクチン接種後は、約1~2週間妊婦や生後6か月未満の乳児、免疫不全患者との接触は避ける。
ワクチンの特徴を理解し、お子さんの体質に合わせてインフルエンザワクチンの予防接種を検討していきましょう!
参考・引用サイト:第一三共Medicalcommunity
