【40代からの健康診断】胃カメラ・大腸カメラが大切な理由|便潜血・バリウム検査の落とし穴

看護系
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毎日忙しい日々を送っていると自分の健康は後回しになることありませんか?

「なんとなく胃が痛いけど、食欲はあるから大丈夫」「会社の健康診断で便潜血もバリウム検査も異常なしだから安心した」と思っているあなたへ。症状の程度や、検査の種類によって早期がんの発見につながるか大きな分かれ道となります。

 
 

食べ過ぎたり、ストレスでも胃は痛くなることあるよね。でもほっといたら良くなったから大丈夫っしょ!

 
 

胃や大腸のがんは症状を感じないこともあるにゃ!

しっかりと検査を受けて健康な体を維持するにゃ!

このように「なんとなく…」という症状は、もしかするとその小さな違和感は体のレスキューサインかもしれません。今回の記事では、現役看護師が胃カメラ・大腸カメラ検査をおすすめする理由をお伝えしていきます。

ポイントとしてはこちら👇

1.がんのリスクが高くなる40代を迎えたら症状に限らず検査を受ける!

2.便潜血、胃バリウム検査ではがんの診断はできない!

3.早期がんを見つけるには胃カメラ・大腸カメラ検査が確実である!

がんのリスクが高くなる40代を迎えたら症状に限らず検査を受ける!

がんのリスクが高まるのは年齢だけではなく、生活習慣、遺伝性などの要因が影響する場合があります。では、なぜ「40代から検査を受ける」ということをすすめているのでしょうか。

実は、全国のがん罹患数の上位を占める「大腸がん」「胃がん」があげられますが、厚生労働省のがん検検診指針では「40歳以上」を対象に年1回の実施が妥当とされています。

国立がん研究センターが公表している最新の統計データを見ると、がんの罹患率は年齢を重ねるごとに高くなっていることが明確にわかります。

特に40代後半までは比較的ゆるやかに上昇しますが、50代を境にそのカーブは一気に急になります。

引用・出典

国立がん研究センター「がん統計」
https://3i-partners.co.jp/cancer/about-cancer/nansaikara

厚生労働省「がん検診の指針」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202301_00001.html

がん検診対象年齢になると、お住いの市町村から検診のお知らせが郵送で届きます。自治体で実施する検診は費用が比較的安く、気軽に受けやすいのはメリットです。

一方で対象年齢に当てはまらない方も、会社の健康診断や人間ドッグを通じて検査を受けることが可能です。費用は自己負担になりますが、定期的な検査を受けておくことが早期発見につながります。

胃がん検診の種類

厚生労働省の検診指針では、

胃がん検診 → 50歳以上を対象に2年に1回

大腸がん検診→ 40歳以上を対象に年1回

上記を対象に検査を勧めています。

胃がん検診で行う検査方法は以下の通りです。

検査方法メリットデメリット
X線検査(バリウム検査)・比較的短時間で受けられる
・広く普及しており、受診しやすい
・胃全体の形や動きを把握しやすい
早期の小さな病変は見落とす可能性あり
・放射線被ばくがある
・造影剤(バリウム)による便秘や消化管穿孔のリスク
・検査後に下剤が必要
胃内視鏡検査(胃カメラ)・直接観察できるため、小さな病変も発見しやすい
・組織を採取して病理検査が可能(確定診断に直結)
・ポリープや一部病変はその場で処置できる
・前処置(絶食・喉の麻酔など)が必要
・不快感や苦痛を伴う場合がある
・まれに出血・穿孔など合併症リスク
・費用がやや高い

このように2種類の検査でもメリット・デメリットがあります。精度を重視するなら胃カメラ、簡便さや受けやすさを重視するならバリウム検査というイメージです。

一般的な健康診断の検査内容にはありませんが、「ヘリコバクターピロリ菌=以下、ピロリ菌」の検査もとても重要です。ピロリ菌は胃がんの大きな原因の一つとされています。

検査方法は血液検査・呼気検査・尿検査など簡単に調べられますが、結果が陰性でも「胃の症状が続いている」「家族にピロリ菌感染している人がいる」場合は、胃カメラによる細胞診をおすすめします。

大腸がん検診の種類

一般的な大腸がん検診には以下のものがあります。

大腸カメラは大腸全体の様子が把握でき、病変があれば組織細胞診や、ポリープ切除もその場で可能です。ただし、検査数日前から食事内容や前処置の下剤などの準備があるため、スケジュールに応じて予定を組む必要があります。

大腸がんはポリープから発生することが多いので、小さいポリープの段階で切除すれば、がんの予防につながります。

便潜血検査、胃部エックス線検査の落とし穴

便潜血検査や胃部エックス線検査は検診の第一選択として受ける方も多いと思います。しかし、この2つの検査はあくまでも「癌かどうかのふるい分け」に過ぎません。結果が【異状無し】でも安心できない理由をお伝えします。

便潜血検査の落とし穴

一次検査として便潜血検査が簡易で痛みもなく実施できますが、個人で便を採取するため便の量が少なかったり、たまたま採取した部分に血液が付着していなかったりと、確実性には乏しい一面があります。

また大腸ポリープがあっても初期で小さい場合は出血もなく、検査に反応しない場合もあります。

胃部エックス線検査の落とし穴

胃部エックス線検査は胃全体の大きさ、形状、胃表面の凹凸などを調べることができます。検査前に発泡剤で胃を膨らませ、バリウム(造影剤)を飲んで胃全体に広げるため検査中に体勢を何度か変えます。その間もゲップを我慢しないといけないので結構辛いですよね。

胃部エックス線検査では、胃がんの初期にみられる小さな病変、咽頭~食道の病変が分かりにくいことがあげられます。胃の構造として空腹時はしぼんでいるため、しっかりと胃を膨らませないとしわの間の病変に気づきにくいです。

直接胃の中身を見て細かく観察する胃カメラとは違って、胃部エックス線検査は撮影状況(ゲップが出てしまった、造影剤が均等に広がらなかったなど)によって検査結果に影響が出てしまう…ということです。

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それじゃ、便潜血検査やバリウム検査は意味ないの?

 
 

そんなことは無いにゃ。体に負担が少なく、低コストのほうが検査は受けやすいでしょ?まずはどんな方法でも検査を受けることが大切!!

実際にこの検査で「要精査」と結果がでて、内視鏡検査を受けたけど「異常なし」だったという人も多いにゃ。

なので、いきなり内視鏡検査を受けることに抵抗がある人は、便潜血検査やバリウム検査でOKにゃ!

胃カメラ・大腸カメラは早期がんの確定診断ができる!

胃カメラ・大腸カメラ(内視鏡検査)では、直接カメラを挿入し臓器全体の様子が把握でき、怪しい病変があった場合はその場で組織を採取し病理検査に提出することができます。現在はカメラの精度も高機能で、メーカーによってはAIが小さな病変も感知し、医師の補助役として活躍してくれます。

組織をとった場合、検査結果は約1週間程度で出ます。検査が終わった時に、結果をいつ聞きに来たら良いかを確認して帰りましょう。

内視鏡検査って苦しい?

内視鏡検査を初めて受けられる方は「苦しそう」「おしりを見られるのは恥ずかしい」と考えてしまいますよね。

 
 

胃カメラって「おえっ」ってなるんでしょ?

 
 

現在は内視鏡検査の苦痛や不安を和らげるために鎮静剤を使用し、寝てる間に検査終了!という病院も増えています。検査直前には「のどの麻酔」も併用して行うためカメラ挿入の違和感は軽減されます。

ただし、市町村の発行している特定検診、無料クーポンでの内視鏡検査では「鎮静剤なし」で行う場合が多いです。お近くの医療機関が鎮静剤使用しているかを調べてみましょう。

大腸カメラに抵抗感がある人へ

大腸カメラではデリケートな部分を話したり、観察されるため胃カメラより抵抗感が強い人も少なくありません。

 
 

便の話をしたり、おしりをみられるのは恥ずかしいな。

 
 

お気持ちよく分かります。排便の性状を聞くのは検査を受ける上で、大腸内に便がたまっていると視野が見えにくくなり、正確な観察が出来ないので大切な確認事項なのです。

直接見られることに抵抗がある場合は、病院から渡される排便のスケールや、携帯で写真を撮って看護師に見てもらっても大丈夫です。

また「おしりを見られる」という点では、カメラの挿入時のみで、その後は医師も看護師も内視鏡画像を主に観察しています。検査中は照明を暗くして生体モニターで状態の把握をしているため、顔をじっと見つめること(笑)はないので安心してください。

どの検査でもリラックスして受けることがスムーズに終了する鍵です。不安なことはいつでも看護師に聞いてみてください。

まとめ:健康診断を定期的に受けて、健康資産を手に入れよう!

今回の記事のまとめはこのような内容です。

1.がんのリスクが高くなる40代を迎えたら症状に限らず検査を受ける!

2.便潜血、胃部エックス線検査ではがんの診断はできない!

3.早期がんを見つけるには胃カメラ・大腸カメラ検査が確実である!

現代の死因で上位を占める「がん」は今では2人に1人の割合で罹患すると言われています。そして医療の精度も同時に進化しており、早期の発見で胃がん、大腸がんの9割の人が治療に成功しているという時代です。引用:厚生労働省サイト

出典:厚生労働省 がん検診https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html

私が勤めているクリニックでも内視鏡検査を行っていますが、便潜血検査や胃部エックス線検査では異常はなくても「なんとなくのどがつかえる」「便秘が続いている」などよくある症状で受診し、食道がんや大腸がんが発覚したという患者さんもいます。

大事なことは自分の体調を意識し、「なんとなく…」の症状でも医療機関を受診すること、そして症状のない人でも検診は必ず受けるということです。

健康診断を生活の一部に取り入れ、いつまでも健康な体を維持して、自分の好きなことを満喫できる人生にしていきましょう😁✨